難病講演会(後縦靱帯骨化症)
自治体主催の難病講演会があったので参加してきました。と言ってもこのご時世なのでZoomで聴講です。話の流れから頚椎後縦靱帯骨化症が講演会の対象と思われます。
脊椎と脊髄
- 首の部分の輪切り概念図(脊椎・脊髄)
- 脊髄には下り(運動神経:脳から全身へ)と上り(感覚神経:全身から脳へ)がある
- 下りの障害(筋力低下、運動麻痺)と上りの障害(しびれ、感覚麻痺)
後縦靱帯骨化症
- 後縦靭帯:椎体の後面を縦に結ぶ(脊髄の前方にある)
- 黄色靱帯:椎骨後部の椎弓を上下に結ぶ(脊髄の後方にある)
- 後縦靱帯骨化症:後縦靭帯に骨化組織が生じて成長、脊髄を前から圧迫
- 黄色靱帯骨化症:黄色靭帯に骨化組織が生じて成長、脊髄を後ろから圧迫
手術
前方固定術(前方アプローチ)と椎弓形成術(後方アプローチ)がある
- 前方アプローチ
骨化組織を摘出できる、重要な器官(頸動脈・頸静脈・食道・気管)を避けて手術するのでリスク高、1〜2椎間のみ、固定術の併用(頸部運動制限あり) - 後方アプローチ
骨化組織自体には手を付けない(術後も残存)で脊髄の通るトンネルを広げる、重要な器官はなく後方の筋肉のみ、広範囲を手術できる(多椎間)
手術の効果
脊髄・神経への圧迫を手術で解除すれば症状は治るはず。だが実際は、、、
- 今ある症状は、(1)神経が死んでしまったために出た症状と、(2)神経が死にそうになって出た症状の2種類
- 手術で圧迫を解除すると、(2)の症状は改善、(1)の症状は良くならない
- 死にそうになった脊髄細胞による症状の大きさの違いで術後の回復の程度が決まる
- 死んでしまった脊髄細胞は圧迫解除しても生き返らない
- 症状残存=後遺症
後遺症
- 手術の侵襲による症状(創部の痛み、肩こり、運動制限)
- 手術により新たに出現した症状(肩が上がらない)
- 手術をしても治らなかった症状(手足のしびれ・痛み、筋力が回復しない、歩行障害、こわばり)
後遺症が残ってしまったら
- 前向きに考えること。諦めも肝心。しびれや痛みは精神的要因がかなり影響する
- 回復しなかったことを悩むより「これ以上悪くならないでよかった」と考える
手術のタイミング
- 圧迫が長引くほど症状の回復は難しくなる(神経が死んでしまうと回復しない)
- 軽微な外傷でも一気に症状が悪化してしまう
- 自分で納得した上で手術を受けるべき
手術を考える際に重要なこと
- 基本的に予防が目的(これ以上悪くならないように)
- 過剰な期待は禁物
- 主治医とよく話し合って決める
See you later.